『√Letter ルートレター Last Answer』感想

先日ブログを始めようと思い立ったものの、最近メンタルが死に過ぎててしばらく自分のことを書く気力がないので、第一発目はやったゲームの感想を書こうと思う。

今回は『√Letter ルートレター Last Answer』というゲームの感想を書いていく。

ちょうど一ヵ月前くらいにSwitchのダウンロード版がセールで500円くらいだったので衝動買いした。ポイントを使ってさらに安くなって100円ちょっとで買うことができた。 以前、同じ制作会社で発売されている「Root Film」というゲームを買って面白かったので、その前作ということでの期待もあった。

米国で実写映画化されるらしく、それを受けてのセールなのかもしれない。 PVを見ると原作とされているこのゲームとは別物としか思えないんだけども、文通相手を探しに行って彼女の友人たちに会って真相を突き止める~みたいな流れは同じらしい。

前置きはこのくらいにして、それぞれの側面から感想を述べていこうと思う。

ストーリー・シナリオ

あらすじについては公式サイトを参照のこと。画像で表示されるので、わざわざ文字起こしして引用するのが面倒くさい…

物語|『√Letter ルートレター』公式サイト|角川ゲームミステリー

ゲームの流れとしては、一章ごとに文通相手の友人を突き止めて話を聞きに行き、最後の二章分で真相に辿り着き結末を迎えるという構成になっている。 ルートが分岐するのはその2章分からで、それまでの手紙の返信の選択によって分岐するようになっている。

分岐後の展開はルートによって真相も結末も大きく違うものになる。もちろんTRUEルートと呼べるような正統派のルートもあるが、唐突に皆殺しになったりオカルトに走ったりと振れ幅が大きい。 この仕組みを実現させるためなのか、全体的に物語が薄く描かれているような印象を受けた。 文通相手の友人一人一人に会いに行って過去と向き合うというシナリオ自体は面白いと思ったが、基本的な流れが「手紙の情報を基に友人の手掛かりを集める→友人を突き止めて主人公が失礼極まりない発言で問い詰める→友人が思い出話をして肝心なことははぐらかして終了」という流れで、8章まで心情描写が少なく友人間の掛け合いなどもあまりなかったのでいまいち感情移入しにくかった。例えば、主人公が友人に対して「彼女は本当は君のことを大切に思ってたんだよ」なんて言っても、その「彼女」の現状がルートによって異なるので友人たちは微妙な反応をするしかないというようなことが起こっている。 TRUEエンドだと思われる「縁結びエンド」だけは、そこら辺を補うようにちゃんと描写されていた。エンディングではある程度感動できたから終わり良ければ総て良しという感じもするんだけど、読み物としては全体的に物足りなさを否めなかった。

システム

このゲームには、章の始めに文通相手からの手紙を読んで返信を選択する「手紙パート」と、街を歩き回って調査する「探索パート」と、文通相手の友人を問い詰める「追求パート」がある。

「手紙パート」は読んで選択するだけで一瞬で終わるので特筆することもないが、2周目以降は章スキップ機能があるので手紙を書いた後にスキップできるのはよかった。

「探索パート」は本作のメインとなるパートで、古き良きコマンド入力式ADVのようなシステムになっている。 しかし、本作は基本的に一本道で進行するためほとんどその良さが活かされていないのが残念だった。横道に逸れて他のキャラクターに話を聞きに行こうかと思って至る所に移動するが、どこに行っても無人の風景が広がっていてなんとも虚しかった。二周目からはマップに隠れているキャラクターを探すようなイベントが解放されるが、ほしいのはそういうのじゃないんだよな… 「観光ガイド」ボタンで各所の説明が聞けるのはよかった。街の人と話す場面も結構あるので、島根旅行に来ている気分になれる要素は充実していたと思う。

「追求パート」は相手に証拠を突き付けて話を進めていく言わば逆転裁判の法廷パートのようなパート。 これはきちんと考えないとできないようになっていて、やりごたえがあって面白かった。(一部理不尽なものもあった気がするけど) ルーレットで発言を選択する「マックスモード」も斬新で面白かった。外れの選択肢を選ぶと山寺ボイスで的外れなことを言うのも、声優として正解の使い方って感じがする。

実写・イラスト

前作の「√Letter ルートレター」はイラストのみでできたゲームだったが、本作ではイラストを実写画像で置き換えた「ドラマモード」が搭載されている。

人物画像は立ち絵というよりはポートレート写真のような形で表示されて、場面に合わせて表情が変わるようになっていた。 これによってより没入感が増すというような触れ込みがされていたが、個人的にはどうしてもシュールさの方が勝ってしまい、却って逆効果で物語に集中できなかった。 決してキャストさんの演技が悪かったわけではないけど、フリー写真素材でできたフリーゲームのようなイメージが離れなくて陳腐さを感じてしまった。

一周目をクリアした後で、イラストの「オリジナルモード」に切り替えられることに気づいて試してみたところ、これが素晴らしかった。 背景の街の風景などは実写とイラストで同じ構図のものが多かったが、描き込みが丁寧でイラストの方が綺麗に見えた。 キャラクターのイラストも味があってよかった。少なくとも実写よりはこっちの方が馴染みやすさがあって物語に集中できたと思う。 「Root Film」でもイラストがめちゃくちゃ綺麗でそこだけでもお金払おうと思うレベルだったが、本作も同じくらいイラストはよかった。

音楽

BGMは全体的に良曲が多かった。ノベルゲームだと邪魔にならないように雰囲気程度の曲になることが多いが、本作では展開の多い曲があり、それを探索パートなどで聞くとゲームと上手くマッチして飽きにくくさせる効果があったと思う。

主題歌もいい曲だったけど、欲を言えばおちゃらけた感じの後日談の後じゃなくて縁結びエンドの最後の時点で流れてほしかった。

まとめ

SteamやAmazonのレビューを見ていると「バカゲー」という評価がちらほら見えるが、そういうものとして見た方が楽しめるゲームだったと思う。 シナリオ重視で期待してやってみると正直肩透かしだった面もあるが、青春モノとしてみるとこれくらいのノリの方が心地よく楽しめるかなと思えてきた。 最後まで遊んでみると何となく温かい作品だったなと思えるようなゲームでした。